旧海軍出水航空基地掩体壕 

 ▲ 画像の左手に国道373号が通る。写っているのは「掩体壕2」(※ 番号は出水市教育委員会の資料を元にしています)
旧海軍出水航空基地掩体壕
鹿児島県出水市には先の大戦中、 旧海軍出水航空基地があり、その面積は300ヘクタールにも及びました。
現存している掩体壕は、千間山地区第二海軍航空隊の掩体壕で、 特攻碑公園 から1.5kmくらい離れた位置、 出水ゴルフクラブに隣接した畑の中にあります。
3基現存していますが、県道373号沿いにある2基が見つけやすく、見学もしやすいです。

掩体壕とは、飛行機を敵の爆撃機から守るための壕の事で、 この様にかまぼこ型をしたコンクリート製の物(有蓋掩体壕)が多いですが、 簡易なものは爆風・破片除けの土堤のみであったり、屋根のない(無蓋掩体壕)もあります。

 ▲ 掩体壕2

 ▲ 掩体壕2 掩体壕後方から
この掩体壕は、昭和19(1944)年に飛行場周辺に建設されたもので、小型機用の掩体壕です。 恐らく「紫電」「紫電改」を格納していたのではないかと推測されます。 当時の掩体壕建設作業には旧制中学生も動員されたそうです。

県道373号を走っていてまず気付いたのが、国道から見るとボロボロに朽ち果てて見えた「掩体壕2」です。 (※ 番号は出水市教育委員会の資料を元にしています)
国道から見ると、掩体壕の後方部分から見る事になります。
2018年現在、出水市が保存整備を進めているようで、掩体壕の近くに駐車場の整備が進められていました。
掩体壕2: 最大高(現存部)4.9b、最大幅(現存部)14.1b、奥行き(現存部)8.0b

近付いて見ると、やはり掩体壕、しっかりしたコンクリート造りです。 壕の後部に通気口として、スロープ状の口が付いているのが珍しいなと思いました。
この掩体壕は、天蓋の前方部約3メートルほどが落下しており、天井の一部に穴が開いています。 この穴は爆撃で空いたと言われています。

この「掩体壕2」から出水ゴルフクラブのネットの方向を振り替えると、 畑の中に「掩体壕1」が見えます。

 ▲ 掩体壕2 掩体壕後方には通気口がある

 ▲ 掩体壕2

 ▲ 掩体壕2。奥に掩体壕1が見える
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掩体壕1: 最大高5.2b、最大幅(現地面)12.8b、奥行き13.0b

「掩体壕1」は遠目から見ると綺麗な綺麗なアーチ型をしています。 近づいてみると、天蓋の前面部が全体にかけて数十センチメートル程度破損していました。
壕内部は地盤の砂礫層を掘り込んで機体格納スペースを作り出していたのだそうです。 戦後に埋められており、現在では航空機を格納できるような深さはありません。

昭和19年末の記録では、出水基地の使用方針は「紫電練成基地」や「紫電整備基地」であった事や、 昭和20年8月の調査で、出水基地には小型の有蓋掩体が3基あったとされる事から、 出水基地には少なくとも終戦までの一年弱の期間には戦闘機「紫電」が配置され、 それらを格納する掩体壕が有ったと考えられています。

 ▲ 掩体壕1

 ▲ 掩体壕1
今回見つけた2基の掩体壕のサイズと、戦闘機「紫電」「紫電改」のサイズを比較すると、 「紫電」「紫電改」の両方とも掩体壕1・2に格納可能であったと考えられます。 出水基地に関連のある「銀河」「九六式陸攻」「一式陸攻」は大きすぎて掩体壕1・2には格納できません。 拠って「紫電」「紫電改」を格納していたのではないかと考えられます。
掩体壕近くを歩いていましたら、 部活帰りの高校生たちが何人も自転車で通り過ぎて行きました。 その全員が、大きな声で挨拶をしながら通り過ぎて行きました。 なんと、道路の反対側からでも、大きな声で挨拶がありました。 工事現場のおじさんも挨拶をしてくれました。
なんて素晴らしい土地、出水!!!!
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掩体壕3: 規模不明

「掩体壕3」は「掩体壕1・2」と少し離れた位置にあり、県道373号からは見えません。 歩いて行ける距離ではあります。
どこにあるのか分からなかったので、農作業中の地元に方に尋ねると、 「一本向こうの道から見えるけど、近づけないよ」と教えて下さいました。

掩体壕3はピンポン館というアパートの裏手にあります。 アパートの横の道を進むと、空き家があり、その前に掩体壕の前に続く畦道がありました。 凄い藪ですし、近づくのはお勧めできない場所でした。

 ▲ 掩体壕3


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旧海軍出水航空基地掩体壕 DATA
住所鹿児島県出水市平知町366付近
電話番号
時間終日開放
駐車場なし
公式HP
備考
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last visited : 2018/09/15