吉香公園は、山口県岩国市の名橋 錦帯橋 を渡った先にある公園で、 錦帯橋と共に「日本さくら名所100選」に選定されています。
旧岩国藩主であった吉川藩歴代の居館を、明治になって公園として一般に開放したもので、 広大な公園内には、 香川家長屋門、旧目加田家住宅、錦雲閣、微古館などが建ち並びます。

「錦雲閣(きんうんかく)」は明治18年(1885)に旧岩国藩主吉川家の居館跡が公園として開放された際、 旧藩時代の矢倉に似せて造られた絵馬堂です。

目加田家は、近江国愛知郡の出で、天正年間に吉川元春に召し抱えられ、吉川広家が慶長5年(1600) 関ヶ原の役後、出雲国富田から岩国に移封された時に広家に従ってこの地に移り住みました。
この住宅は18世紀後半の建築と推定され、中級武家の住宅としては 全国でも数少ない遺構の一つとして、昭和49年に重要文化財に指定されました。

建物は切妻造り、桟瓦葺きで、土間側面を除いて三方に庇(ひさし)を巡らし、南西に面して建っています。 間取は正面に式台付の玄関の間を設け、向かって右に仲間部屋、左に表座敷二間を配しています。 仲間部屋の裏は土間で平常の出入口とし、続いて中の間、台所、板の間等を設け、 表座敷の背後には中廊下をはさんで裏座敷三間を配し、裏座敷上部には屋根裏部屋が設けてあります。 総体的に水割が細く、松を主材とし簡素ではありますが隅々まで端正な構えを見せています。 なお、筋葺きに用いられている特殊な形の桟瓦は、 この城下町西岩国地区に集中してみられる地方色として注目されています。