霧島市隼人町に湧く 妙見温泉 は、新川渓谷温泉郷の中心的な温泉です。 新川渓谷温泉郷 は、鹿児島県霧島市牧園町の新川渓谷一帯に点在する温泉群の総称で、 隼人・新川渓谷温泉郷として、日の出、塩浸、安楽、新川、妙見、日当山の各温泉が国民保養温泉地に指定されています。
その中で 妙見温泉 が最も大きく、 天降川(あもりがわ)沿いに旅館が点在していますが、温泉街というほどの規模はなく、自然の中の保養地です。 元々は湯治場であり、自炊宿も多く存在しています。

霧島を訪れたからには湯治宿に宿泊したいと思い、秀水湯 を予約しました。 湯治宿・自炊宿は宿泊予約サイトにあまり掲載されていませんが、こちらは 楽天トラベル から予約出来ました。
秀水湯は「妙見指圧治療院」を併設していますので、湯治と共に施術してもらうと効果倍増かもしれませんね。

秀水湯は国道223号沿いにあり、小さな案内表示もありますので、迷わず辿り着いたのですが、 建物の外観が余り "宿" らしくない、普通の民家風だったので、少し戸惑いました。 どこがフロントだろう？と辺りを見回しましたが、民家の玄関らしき場所しか見当たらず、 湯治宿とはこういう物なのかと納得。

案内されたお部屋は、裏手にある別棟です。

部屋には無料のテレビ、有料のエアコンがあり、トイレが部屋内に設置されていました。 写真で分かる通りの山の中なので、トイレが室内だったのは嬉しかったです。
湯治宿ならではの、調理用具の充実ぶりで、 しかも部屋の中のカランから出るお湯は、温泉なのです！！　 この宿では温泉に浸かるだけでなく、温泉を利用して料理も作れるという事。 これぞ湯治です！！！　・・・と言っても料理はしていないので、飲泉しました。

さて、一番のお楽しみは、温泉です。 宿泊客は24時間利用出来るのですが、ある程度の時間になると電気が消えるので、スイッチの場所を教えて下さいました。 温泉は男女別の浴場のみです。

湯小屋の前には温泉の掛け流されている飲泉場と、冷水が出ている物との2つの水場がありました。 湯小屋の入口はトタンで造られ、女湯のドアを開けると、2つの浴室に分かれていました。 向かって右側が脱衣所隣接の、源泉かけ流しの浴室で、洗い場があります。 左側の浴室には、うたせ湯と水風呂があり、こちらは天然水で加水されています。 源泉かけ流しの方は適温なので、こちらで温まり、加水してあるうたせ湯でクールダウンすると良いかもしれませんね。

脱衣所は簡素でとても狭いので、他の宿泊者のグループが使用している間は遠慮しなければなりませんでした。 浴槽も広くはないので、他の方々と入れ替わりに入浴したのは正解だったと思います。
浴場は温泉成分で赤茶色に変色した湯船がひとつと、洗い場があるのみです。 お湯はドバドバと凄い勢いで掛け流されているので、浴槽からのオーバーフローも半端ない量です。 これだけの勢いでお湯が動いているので、ゴミひとつないフレッシュなお湯でした。

かけ流しの勢いや、浴室内の見事な赤茶色、周りの岩には析出物が付着し、 見た目から良さそうな温泉である事が伝わってきます。 洗い場のカランからも勿論温泉が出ます。 綺麗に身体を洗って、気持ち良く入湯です。
温度は丁度良く、勢い良く投入される温泉の流れも心地良いです。 そして気付くと、体中に気泡が付着しています。 高温なのに、泡付きも良い温泉なのですね。 あっという間に身体が気泡で包まれます。

入口の案内によると、 泉質は『ナトリウム・カルシウム・マグネシウム炭酸水素・塩泉(低張性・中性・高温泉)』で、 泉温は43.7℃です。性状は『無色透明・清涼味・無臭』と書かれています。
しかし口に含むと、えぐみと炭酸の混じった何とも言えない味で、清涼味とは程遠い気がしました。

温まった後は、加水されて温度の低い打たせ湯でクールダウンです。 高温と低温の浴槽があると、長時間温泉を楽しめますね。 加水されているので、泡付きもなく、温泉のフレッシュさも感じませんが、 打たせ湯で体がほぐれます。

秀水湯の温泉がこれ程までに良いとは知らずに予約したので、 当たりくじを引いた気分でした。 この温泉があれば、小ぎれいなホテルよりも、鄙びた湯治宿に泊まる価値がありますね。

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