大分県豊後大野市三重町から宮崎県延岡市へ向かう国道326号を走っていると、 山の中に巨大かつ彩色豊かな女性の像が建っているのが見えます。
この像は「般若姫像」と言い、「蓮城寺」という古刹にあります。

「蓮城寺」は通称「内山観音」と呼ばれる県下最古の寺院です。 欽名天皇15年(554年)に中国の天台山から渡来した蓮城法師が開山し、 真名野長者(炭焼小五郎) が創建した寺院です。

真名野長者とは大分県の豊後国に伝わる民話で語り継がれている人物で、 臼杵石仏 を彫らせたと云われている人物です。 その長者夫婦の娘が 般若姫 です。

観音堂には本尊の千手観音、薬師堂には京都三十三間堂と並ぶ998体の薬師像が安置されており、 真名野長者伝説にまつわる一寸八分観音、長者夫婦の墓、金亀ヶ淵などがあります。

駐車場周辺は内山公園として整備され、春は桜、秋は紅葉の名所となります。 駐車場の片隅に小さく鄙びた土産物屋があるのみで、観光地化はされていません。

駐車場の正面には蓮城寺本堂があります。 本堂の中に本尊であり秘仏である千手観音像が安置されており、 中開帳は17年、本開帳は33年で御開帳されます。
この千手観音像が「内山観音」と呼ばれる由来の様です。

本堂の扁額には「犬悲閣」とありますが、どういう意味なのでしょう・・・？
本堂の前にはちょっぴり不気味な真っ白い顔のおびんずる様が鎮座しています。
また本堂左手には延命地蔵や子安観音があります。

蓮城寺本堂の左手には千体薬師を安置する薬師堂があります。 本尊の薬師如来を中心にそれぞれ約500体の薬師如来を安置しており、 この一体一体は豊後国の人々が寄進したと考えられています。

この千体薬師像は木造の立像で1008体から成ります。 像の高さはいずれも65cmの同大同形で、蓮華座に立ち、左手に宝珠を持ち、 右手は肘を曲げ施無畏の印を結んでいます。
作者は同一人物と推定されていますが、作者不明で4つの系統があります。

薬師堂の両脇には力強い仁王像が立っています。

「蓮城寺」「薬師堂」の左手から般若姫像の建つ裏山へと上る小路があります。 般若姫という名前から強面のお姫様を想像していたのですが、 いたって普通のお姫様でした。
般若姫像は高さ22mあり、般若姫像の前には姫の御両親、真名野長者、玉津姫の像が建っています。

般若姫とは真名野長者と玉津姫の間に生まれたお姫さまで、大変美しかったそうです。 欽明天皇の第四皇子・橘豊日宮がその噂を聞き、 身分を隠して長者の元を訪れ、ついに姫と結婚します。
その後皇太子は都に戻って用明天皇となり、 般若姫は後を追って都に上がろうとしたのですが、 嵐の為命を落としてしまいました。

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